『デトロイト・メタル・シティ』を観た。

お洒落なポップスをやりたいと上京した根岸は、どういうわけかデスメタルのバンドをやることなる。「こんなバンドはしたくない!」と文句を言いながらも、本人の予期せぬ形で次々と伝説を作り上げていくことになる。


松山ケンイチが凄かったです。これからマンガ・アニメの実写版を企画する際に、及川光博と並んで名前が挙がることになるだろうと思います。あとは社長役の松雪泰子も良かったです。ただ、その一方でジャギ役の細田よしひこ、カミュ役の秋山竜次はイマイチでした。松山と松雪がやたら巧いせいもあるでしょうが、この二人はほとんど空気扱いです。そして加藤ローサ。メインヒロインの筈なのに(私の性癖も関係しているでしょうが)松雪演じる社長の方がヒロインっぽかったです。いや、これは私の性癖に関係なく、そう見えて仕方がない筈です。社長を「根岸の才能の理解者でありヒーローを望む大衆の代弁者」という、メインヒロイン級のポジションになっているのですから。そうなると、凡庸でありきたりなヒロイン像を平凡にこなす加藤よりは、エキセントリックな社長役を全力でこなす松雪の方が目立つのは自明の理です。
でも、そんなキャスティング以上に不満なのが映画その物のトーンです。
『デトロイト・メタル・シティ』の面白さは「過剰さ」にあったと思っています。
「東京タワーが濡れてやがるぜ!」などの壮大なバカバカしさ、「あの娘をレイプ!」などの度を越えた不謹慎さ、そういう過剰さが魅力であり、個人的には「根岸」と「クラウザーさん」という二面性とか、相川さんとの恋の行方だとか、そんなんものはどーでもいいと思っていたんです(最近は原作も過剰さが薄れてきたような気がして悲しいです)。しかし、映画ではその「二面性」と「相川さん」との関係をピックアップし、そこを中心にこじんまりと纏めているのです。
前半はしょぼいコントが延々と続き(残念ながら私は笑えなかった)、後半からは「才能と向き合おうとしない根岸が、才能と向き合うことで大衆のヒーローとなる」までを描きます。それはそれでイイ話なのかもしれませんが、「日米ファック対決」とかを期待する私のような人間には、そんなのはどうでもいいことです。夢?親子愛?ラブコメ?そんなものは見えやしね―――――!! 加藤ヨシキの目にうつるものはただ一つ!! 破壊―――(デストロ―――イ)!!!
取り乱しました。
とにかく。結局は若い女性向けなんだと思います(脚本が女性らしいので、それも関係していると思いますが)。だから相川さんが最後に全ての人のヒーローになった根岸を認めると同時に、勝手にステージに上がってクラウザーに「根岸君でしょ?」と問いかけ、(結果的には)自分がヒーローと「ヒーローと大衆」以上の特別な関係にあることアピールするのだと思います。あれは私にはヒーローの仮面を自分の為に剥ぐ無粋な行為にしか見えませんでした。相川さん以外誰も得をしないし。この映画は前述したようにラブコメ好きな若い女性には受けると思います。ただ「東京タワーをレイプ」「48のポリ殺し」「タンバリンなどレイプしてくれるわー!」「0.5ファック勝ったぞー!」といった映画では消された部分を愛する人間にとっては―、そんなラブをコメってる映画なんざいらねぇ!ただ脊髄反射で楽しみたいだけなんだよ!とりあえずヘイル・サタン!あー『アイアンマン』と『ウォンテッド』が楽しみだぜ。



デトロイト・メタル・シティ・・・・★★☆☆☆


追伸、俺は同じメタルの人が頑張る話ならば『乱気流タービュランス3』の方が好きだぜ!あとジーン・シモンズが出ている映画ならば『デトロイト・ロック・シティ』!傑作!ロックンロール!